今週のDVD その2
「スキャナー・ダークリー」
フィリップ・K・ディック原作のSFのようでSFでない作品。映像技術と相まって、現実と妄想が交錯し見ている者の混乱を引き起こす。ドラッグ中毒の妄想と陰謀と悲劇的な愛。
簡単に言えば、胸糞悪くなる映画。コメディーな場面でさえ。
でも、そういう感想を持たれていい作品なんだと思う。救いがあるようでないようなエンディング。しかし、その向こう見える微かな警告、真実らしきもの。余韻は深い。
とりあえず、ドラッグ中毒者とその日常を卑下したり、それらに対する一方的な見方を押し付けないところは良かった。「絶対」みたいな嘘っぱちがない。
昨日見た「姑獲鳥の夏」との(偶然の)つながりと言えば、「日常の些細なことに意味を与える」というやつ。つまりは、妄想。そして、妄想を故意に引き起こす「呪い」という技術。
どちらの作品も受け手の現実感さえ不安定なものにしてしまう。結構、危険。
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2007/05/25
- メディア: DVD
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