サマー・アポカリプス読了

テスト期間の内から読んでいたミステリ小説を読み終わりました。
サマー・アポカリプス (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)」は笠井潔さんの矢吹駆シリーズ2作目。前作「バイバイ、エンジェル (創元推理文庫)」の余韻覚めやらぬ猛暑のフランスを舞台にした本格的で重厚なミステリ小説です。
物語は、南フランス・ラングドッグ地方の名家で起こる「ヨハネの黙示録(アポカリプス)」に見立てられた殺人を主題にしている。人が殺されるたびに、黙示録の四騎士を意味する物と賭された馬が残されていく。
なぜ見立てられる必要があったのか?二度殺された遺体の意味は?探偵役である矢吹青年はその最後まで事件に関心を示さず、ただ事件を静観するだけ。そして、また新たな死体が発見される。
現在の殺人と過去の殺人、異端カタリ派の辿った数奇な歴史とその秘宝。歴史に纏わる膨大な情報とともに、同時進行する思想闘争が事件に絡み合い、かつすべてが本筋に繋がって行く様は圧巻の一言。質・量ともに充実した本格推理小説の傑作である。
薄っぺらな推理小説に飽きた方へ。