久しぶりに読む

ずっと小説を読んでなかったので、夕方から森博嗣さんの「朽ちる散る落ちる」を読んだ。やっぱり、とびきり面白かった。読んでいて心地よかった。「久しぶり」という何か暖かい感触。
朽ちる散る落ちる」は、瀬在丸紅子が主役のVシリーズ9作目。相変わらず、阿漕荘のメンバーはハチャメチャしてます。あの会話の部分だけでも読む価値があります。いや、それは言いすぎか。
Vシリーズの作品は、事件のトリックが途中でわかってしまうものが多いのですが、逆に言えばそれだけフェアだし、事件のトリックよりももっと深くて面白いトリックが散りばめられているので私は大好きです。散りばめれている感じは昔あったドラマ「トリック」にも似ているかもしれません。あちらは「笑い」でしたけど。
この文庫の解説*1にはファンの気持ちからも、客観的に分析する視点からもほぼすべて納得・共感しました。特に「人工性」に着目されている点は流石だなぁと。私も、言葉にはできませんでしたが、そういう感覚を持っていました。リアリティがないのにリアリティがある。そもそも、リアリティというものを揺さぶられる。しかし、それが仮想世界であることを自覚させられる。なんとも、付かず離れずといったかんじで、それがまた良いのだけど。
解説のもう一点、「全体と部分」に関しても、森ファンならお分かりでしょうが「作品1つだけをとって評価するべきではない」というのはごもっともですね。1作品だけでなく、入れ子のようにシリーズ全体がまた大きな作品になっています。(さらに・・・w)
これで、Vシリーズが残り一作品になってしまいました。暖めている未読の本が少しずつ減って行くのは、嬉しいことであると同時に寂しくもあります。
でも、明日にも「赤緑黒白」読んでしまいたい衝動があったり(笑)

朽ちる散る落ちる (講談社文庫)

朽ちる散る落ちる (講談社文庫)

赤緑黒白 (講談社文庫)

赤緑黒白 (講談社文庫)

*1:東京大学情報学環助教授の佐倉統さんによるもの、「森 博嗣の脳味噌という密室」