法月綸太郎「生首に聞いてみろ」

図書館で借りて読みました。

生首に聞いてみろ

生首に聞いてみろ

「著名な彫刻家が命と引き換えに残した裸婦像の首が、完成して間もなく盗まれた。しかも、像のモデルである彫刻家の娘しか完成した像を見ていない。誰が像の首を盗んだのか?娘への殺人予告?16年前の自殺?兄弟と姉妹の過去・・・そして、惨劇」ってな感じ。
 
この本は、「このミステリーがすごい!」の2004年度版で1位。だから、それなりに期待してて読んだんだけど・・・。
いや、面白い。確かに面白いんだけど、物足りない。
軸となる謎はたいしたことないんだけど、その周辺に散りばめられた細かい謎が、これでもかと絡まっている。これには感心した。職人技な感じ。(感心されるって、プロの作品としては・・・)
でも、何か最初の方から、2時間ドラマな雰囲気が漂ってる。少なくとも、「この作品で映画は作れないだろうなぁ」と思った。「これがハードボイルドなんです!」って言われたら、「そうなの?」としか答えようがないけど、それくらい主人公をはじめとする登場人物、主題となる裸婦像に魅力がない。
だから、普段ミステリ小説を読んでいない人*1にとっては、ただの2時間サスペンスに終わってしまうだろうと思う。
簡単に言うと、「ミステリのためのミステリ」ってヤツだろうか。
う〜ん、惜しい。
とりあえず、パズル*2が好きな人には、ある程度楽しめると思います。

*1:謎解きに興味がない人

*2:トリックに重きを置き過ぎたミステリ小説